ノート(夜と草色)/木立 悟
外へ飛びたち
かけらを食べた
光になれない
鳥は何になる
次の虫がもう
鳴きはじめた
小さな背の原
熱ではないもの
葉をひるがえす
さよならを解く
蓋が上から来る
ところどころ透きとおる
月の地図を持つ
過去が積もる冬
路地と坂の絵
誰もいない路
燃えて燃えて燃えて
草色と縦の喉
手のひら双つ分の呼吸
つなぐ術のない野生馬
爪と月のかたちの傷と
同じ数だけ地を打つ雷光
頬のかたち 目のかたち
つながりとふるえに気づきながら
やわらかさを守るために黙りこむ
あえてまわる あえてめぐる
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