ノート(夜と草色)/木立 悟
数字の音を読みつづける
色と水のはばたきの記憶
犬と兎 狐と猫
喉なぞるかたち 灯火と息
羽を持たないものたちの羽
夜よ 夜よ
五番めの火よ
街を見捨てぬ汚れた背よ
おまえがおまえを燃やすとき
門番もまた燃え上がり
月に新たな道を落とす
水を踏み 水を越え
離れられない互いを知る
共に唱うたましいを知る
短命と長命の言の葉が
見えない皿に並べられ
にぎやかな指に娶られてゆく
原の子を守る獣の耳に
海の獣の声がとどろく
夜は夜の手をつなぐ
草色の指を確かめる
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