ノート(離歩)/
木立 悟
影なびくほうへ
路を曲がる
前も後ろも
午後になる
花の色と
名前を忘れる
すぐそばにただ
ひとつ揺れる
雨と雪が経ち
かたちは鳴る
すぎてゆく手に
横顔が混じる
白いろうそくの
炎は濁り
闇もまた濁り
闇は明るい
目の奥の花火
触れられるたび風になり
小さなものが失くなり
望まないものが届き
水の冷える音
水として水に消える音
しずくのなかの
遠い穂波
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