ノート(47Y.4・15)/木立 悟
 






魚のような
布のような
白湯ひとつ飲み
眠りは消える


父が笑う 亡霊が笑う
見知らぬ女
洪水の街に
浮かぶ車椅子


右肩を軸に
部屋は回る
水の森
ふり落とされる四角い音


風は掃く
窓の波
光つかむもの
夜ゆするもの


どぎまぎ遠い
灯りを撃てない
夜通し点滅る
半ばの緑


ふいに明るく
夜に立つ夜
実と偽の影
どちらでもない鉛と線


あちこち裂けた別れの手
治りつづけ鳴りつづけ
空をひらく花々の
小さな止まり木となりゆく手


モネの水 ゴッホの夜
球と球のはざまに廻る
そこに無いまま在りつづく球
鉛に蒼をしたたらせてゆく


















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