ノート(ふるえのあとに)/木立 悟
 





心は刃
心はまわる
心は発芽
心は背骨
無いものの羽


泣き声が揺れ
振り返ると海に山に居る
空から直ぐに
降りてくる指
誰もいない街を描く


灯るもの 灯らないものの
差異に生じるいのちから
安全ではない手のひらへ
ぼとぼととぼとぼとと
もたらされるもの


風車が風車に触れて壊れて
空の空まで刺しつらぬいて
受けたことのない涙に濡れる
海ではないあらゆる場所から
波ではないものが波をそそぐ日


この毒は
あなたの毒より濃いものか
あなたという名の毒より古く
ここに現れたものなのか
応えを待つ間に終わる音楽
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