ノート(ふるえのあとに)/
木立 悟
音楽
こがねがこがねに遠去かり
夜はさらに暗く明るい
誰もいない海辺の道を
鳥のかたちの何かがすぎる
新たな人の名を呼びながら
望むような望みは来ず
ありふれたものがありふれて在り
皮膚を皮膚にじっと集めて
自らの熱に耐えながら
見飽きた手のひらの水路を見つめる
そこにいない子
そこにいない手
しずかにしずかに近づいて
うずくまるもの 泣き叫ぶもの
立ちつくすもののそばに添う
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