【批評祭遅刻作品】殺し、やわらかい雨の中で(山茶花オクリ讃1)/渡邉建志
 
ミルのおかあにちょっとディスったあとハミルの幽体離脱氏(とナレーターも)は闘牛士を追うのだけれど、そこの「ハッ、ハアァ、」やばいですよ、この表記は。なんか聞こえてきます。その最後の、とか。そしてそこに驚いているわたしをさしおいて「闘牛士は余韻に浸れるほど呑気にはいかないのでした。」と引き摺り回すわけです。この地の文の引き摺り回しっぷり、読むものをどこまでも引っ張ってぐるぐる回して、というのは、ほとんどジャクリーヌ・デュ・プレのようです。「すぐさま」(て)闘牛士は大通り(たぶん日本)に飛び出して牛を倒す準備にかかるのですが、そこで突然前触れ無く入るハミルの声の地の文です。先刻は(て)こんなやつら居な
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   グループ"フレージストのための音楽"
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