【批評祭遅刻作品】殺し、やわらかい雨の中で(山茶花オクリ讃1)/渡邉建志
 
た肩を闘牛士から
ふっと離しました。間(あわい)に小動物が消え入りそうなくらいにふっと。一度
ぎゅっ、と手を繋いで、やがて二人は小さく手を振り合いました。外套から出たハ
ミルのおかあはひどく刺激的な服を着ていました。90年代初頭のボディコンで
す。そのハミルのおかあの目尻が光ったような気がしました。ハミルの心は仰天し
っ放しです。

やばいやばい。「とうとう」ですよ、何が起こるのかって身構えたら「間(あわい)」ですよ。小動物のたとえもおかしいけれど、わざわざここに()を入れてくるこの、どうリズムを取っていいのかその並行に何かが動いているおかしさ、同時に「これ
[次のページ]
   グループ"フレージストのための音楽"
   Point(5)