【批評祭遅刻作品】殺し、やわらかい雨の中で(山茶花オクリ讃1)/渡邉建志
の上に広げて、「まいっちゃったよ、
「え、なに?」ムスカは気のない返事をします。これは、この時刻のムスカの口
癖。やむなくハミルは括弧を、綴じました。
のやっぱりリズム感は素敵で、「まいっちゃったよ、
のあとの改行にのこされた空間にリズムはやや弛むのに、「口癖。」っていう体言止めがきゅっと締めて、ハミルが括弧を綴じるのはやむないことですよね。
車内に封じられているこの心臓に突き刺さるような鳴動は、石原洋『パシヴィ
テ』。けしてムスカの愛すへき音楽というわけではありません。盗聴音のカモフラ
ージュに間に合ったという、それだけの
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