気の遠くなりかたについて(山茶花オクリ讃2)/渡邉建志
 
の激しい論理の大飛躍をみよ!零下の疾風に耐えるぐらいならば低地で雪掻きする労を厭わなければよかったのに!

そして、最後がすごい。
あまりにも、美しい。

僕たちには一つの
信念が似合ってくる。山頂に着いたら、キャンプファイアを囲んで、一家団欒
に憩うのだ。そこに薪がなくてもかまわない。そこにコンロが、食器がなくて
もかまわない。山頂に着いたら、みんなで鍋の前に並んで、蛤のみそ汁の匂い
で充ちた湯気に鼻を温めよう。そこに鍋がなくてもかまわない。そこに蛤が、
みそが、湯がなくてもかまわない。そこにだれがいなくてもかまわない。僕た
ちの内の僕がいなくても。
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