まだ生きています/若原光彦
は何事もなく職場に向かいました
食事は駅の売店で買って済ませました
ホームで列車を待っていると
よろめいたおばあさんに突き倒されました
私はホームに転落し
入ってきた列車の車輪に切り刻まれました
バラバラ死体が一セット出来上がって
私は死にました
竹を何本もまとめて踏み潰したような
酷い音がしたのを覚えています
それでも私はこうして生きています
そして今日からちょうど四日前
私は何もかもが嫌になって公園でじっとしていました
空は曇り空でした
何時間雲を眺めていたかわかりません
午後になると空腹に襲われました
あまりにおなかが減っていたので
買い物に行く気も起き
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