ひとりぼっちの裸の子ども/佐々宝砂
 
自動的に、エドガー・アラン・ポオの短編小説「アルンハイムの地所」を思い出す。私の記憶が定かじゃないのでどちらが卵でどちらが鶏かはっきりしないけれど、マグリットの絵は、ポオのこの小説に影響されて生まれたものではなかったか。少なくとも無関係ではなかったはずだ。みつべえさんの「アルンハイムの領土」は、ある小説の影響のもと生まれた絵の影響のもと生まれた詩……であるはずで、つまり時代とともに幾重にも重なり増えてゆく引用のひとつだ。

私はこうした引用に心地よさを覚える。みつべえさんと私は性格があわないかもしれないし、生活パターンも違うかもしれないし、思想もまるで違うかもしれない。でも、「アルンハイムの領
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