ひとりぼっちの裸の子ども/佐々宝砂
 
の領土」という共通の言葉によって、私とみつべえさんは確かにつながり得る。そのつながりを実感するとき、私はいっとき「ひとりぼっち」ではなくなるのだ。


ちいさなころ、私がいちばん好きだった遊びは「言いっこ」だった。言葉遊びの一種だが、しりとり・あたまとり・エリオットしとりあそびなどよりずっと単純なものだ。テーマを決めて、そのテーマに沿った単語を言い合うという、ただそれだけの遊びである。動物なら動物と決めて、「キリン・象・バク・カバ……」と延々続けてゆく。この遊びは、似たような語彙を持つもの同士でないと楽しくない。私はひとつ年下の弟と「言いっこ」をしたものだったが、動物の「言いっこ」ならともか
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