第二外科壕より/結城 森士
斜陽に照らされて 自分の影だけが伸びるサトウキビ畑の限りない一本道を、進む、自転車が、刺す陽と闇に飲まれないように。後頭部に何者かが静かに微笑んでいて、更に淡い緑色の景色が夕暮れの闇に少しずつ飲まれていく・・・
(誰だろう。、僕は)
この一本道に現れた何者かの意識の永遠の孤独を、
考えていた自転車を漕ぐ男は誰なのかを考えて微笑む
「ナミウチギワヲ、ミナトガワニムカッテアルケ」
第二外科壕より東に差す近道を突っ切っていた筈が、曖昧な記憶の内に何時の間にか見えない 何者かが僕の肩に手を乗せていた、(誰、が)後輪の上に座ってい
た・・・・・・・・
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)