第二外科壕より/結城 森士
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・自転車の速度を上げる
 時折、第三外科壕で見た少女達の遺影を考えては、確かに、静かに暗くなっていった、夕暮れ・・・(やく・・・、ひ・・・じゃない・・・はやく、解散、解散命令・・・)
ひゅぅ・・・ひゅ・・・ひゅうー・・・・・・・破片の飛んでくる音
・・・悲鳴、太陽、鮮血の夕暮れ、
美しい海岸、
(時機、未だ至らず、・・・今晩海ニ入リテ・・・)

「誰」
声は闇に浸透
 背丈の高いサトウキビが
   暖かい風に揺れながら僕の左右で笑っている、
              笑っている、笑っている、
      
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