鬼女紅葉とおまん/渦巻二三五
 
世欲が頭をもたげてきました。
 子育てが一段落ついて、決して不幸せではない自分の境遇に不満を抱く、というのは今でもよく聞く話です。

 
ある朝洗面せんと水鏡に我面を見ると、不審や、角が生え、鬼の形となりたれば、『これこそ心を鬼として、兵を集め、資金を作り、兵糧を貯えて武力にて都に登るべし』と決心した


 紅葉の転機となった出来事です。
 紅葉は欲望や執着のために鬼になってしまったのではなく、自ら鬼になることを選んだのですね。この激しい心の変化を、私はまだうまく読み解けないのですけれど。

 そこへちょうど鬼武 熊武 鷲王 伊賀瀬がやってきました。
 そして、この盗賊たち
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