鬼女紅葉とおまん/渦巻二三五
 
たちの財物を都の使者から賜ったものとして、近々都から迎えが来て京へ行くのだと触れ回りまりました。
 お祝いにやってきた大勢の人たちに酒をふるまいながら、紅葉は内心、里人と、今までの平穏な暮らしとの決別をしたのでした。
 それから荒倉山に移り、父を呼び寄せ、紅葉は男装の大盗賊となります。表向きは何食わぬ様子で、遠くの村里を荒らし回り、そのかたわら、貧しい里人に施しをしたりもしていました。

 戸隠山のおまんがやってきたのはこの頃のことです。


 鬼無里は今でも交通不便な山里です。駅はありません。高校がないので、中学を卒業して進学する場合は長野に下宿しなければなりません。あ、今はバスで
[次のページ]
戻る   Point(1)