鬼女紅葉とおまん/渦巻二三五
。
二十一才で息子経若丸を産んでから大盗賊団の頭となる三十一才までの十年間、紅葉がどう暮らしていたかというと、
女子は、縫針、男子は読書算用を教え、各々の暮らしに応じて謝礼もありて、何の不足なく暮らしたりし
とあります。
基経の子を宿したまま山中に棄てられた紅葉は加持祈祷で村人の病を治したりなどして尊敬されるようになり、こどもを産んでからはその成長をよろこびながら村人に教育をほどこして平和に暮らしていたわけです。その生活は決して不幸せなものではなく、むしろ穏やかな幸せというものだったでしょう。
ところが、こどもが成長してくると、京の都が懐かしくなり、また出世欲
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)