鬼女紅葉とおまん/渦巻二三五
っていましたから。しかも美しく教養もある。里人は紅葉のために屋敷を建てて敬愛していました。
紅葉は加持祈祷で病を治したり、読み書き算術、裁縫を教えたりして里人の信頼は篤く、それで生計を立てていたようですが、武力でもって京の都へのぼろうとするほどの財力はどのようにして得たのだろうかとちょっと疑問に思います。
盗賊をして稼ぐといっても、宿場町が近いわけでもなく、十数里行ったところでお金のありそうなめぼしい町などあったとも思えません。あるとすれば山を下りて善光寺の周辺くらいでしょうか。
もう一つ疑問なのは、なぜ荒倉山に山塞をつくり移ったのかということです。京へのぼるつもりであるなら、鬼
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