ある少女の独白/杉菜 晃
を失った自分はどうしていったらいいか
そんな言葉の断片が
寒々とした構内に反響していた
決して快いとは言えない しわがれた声で
彼の前には数枚のCDと
代金を入れる紙箱が置いてあった
人の世はつれない
それでも人の優しさが
人を慰める
自分が歌うのは
一人の人に力を与えるため
人には今通過しなければならない困難がある
それを乗り切ろう
おいらが歌うのは
その人に勇気を与えるため
どこからともなく連れ出されて
ここに来る人のために
おいらは歌う
おいらは路上のミュージシャン
そんな内容を青年は口から出てくるままに
ギターの音色に合わせて歌っていた
駅の構
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