無駄の思想/白紙
 
必要と呼ばれて本来の語義を歪曲
されたり、なかなか公正に見てもらへない。
 そんな不遇な扱ひを見るにつけ、私としてはぜひとも無駄
を擁護せざるをえない気分になつてくる。
 無駄は有る。アクセルペダルの遊びなどではなく、立派な
無駄、まるで無用な無駄、箸にも棒にもかからぬ純粋正統な
ダメな無駄があるといふことを、無駄の名誉にかけて力説し
ておきたい。

 しかし現実はなかなか厳しい。たとへば私がかうやつて酒
を呑みながら無駄な散文を書き、無駄な時間を浪費してゐる
といふのに、「息抜きも必要だよ」とか「気分転換は大事だ
ね」とか、せつかくの無駄が「必要なもの」にねぢ曲げられ

[次のページ]
戻る   Point(4)