空が落ちるまで/なまねこ
は
ひびをつけたままで
錆びつき
裏を向いて
ひびを広げた
空は押し戻され
さび付いた街に向けて
しんしんと落ちはじめていた
開け放たれた丸窓を通り
いまだすさまじい勢いで
時間がふきすさんでいた
丸窓の向こう側では
高く澄んだ空に抱かれ
丸い夢を抱いた街が
満ちていく時間に
おそるおそる
指先で触れ
夢についたひびに
おそるおそる
指先についた
時間を塗り込んでいる
空が落ちるまえに
空が落ちてしまうまえに
芝生に背をあずけて
歌いながら
指先から順に
空に飛ばす
歌声に支えられた指先は
映るもののない
落ちくぼんだ河面をかすめ
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