空が落ちるまで/なまねこ
 

駆け上がり
低く重い
地面に向けてうなる空を
押し上げながら
まばゆい新月の裏側に
押し込まれる
ように
溶け込んでいく

重い雲の群れのうなりが
歌声に混じり
陽の光を探しながら
それはやはり
空の裏側へ
広がり
遠ざかり
狭まった世界から逃げるように
溶け込んでいく
歌声は空へ流れ
流れに運ばれて
逆さになった世界のなかで
体は浮き上がり
舞い上がるように
押し上げられる空
とともに
立つべき地のもとまで
ゆっくりと落ち込んでいく
遠い街から吹く強い横風が
浮き上がる体
に絡みながら
落ちる
の境を眺めている

空の裏側は見えない
丸窓を抜ける時間の
甲高い歌声のような
風の音が聞こえている

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