空が落ちるまで/なまねこ
 

小さな丸窓がふたつ並んでいた
丸窓の向こうには
空の近い世界があった
えらく圧迫された街だとか
星だとか
ひびのある丸い夢
が見えた
小さく伸びやかな
歌声が浮かんでいる
裏側には
空の遠い世界があった
空の遠い世界には
えらく引きのばされた街だとか
星だとか
ひびのある丸い夢
があった
小さく伸びやかな
歌声が落ちていった

錆の浮いた丸窓を
ひとつ開けると
空の遠い街から
丸窓を通り
空の近い街へむけて
大量の時間が流れはじめた
またたくまに
空の近い街に
時間が満ちあふれ
引きのばされた裏側の街に
錆が浮いた
裏側の街の丸い夢は
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