空が落ちるまで/なまねこ
 
べき地のもとまで
ゆっくりと落ち込んでいく
遠い街から吹く強い横風が
浮き上がる体
に絡みながら
落ちる
の境を眺めている

空の裏側は見えない
厚く濃密な雲が落ちるまえに
空に落ちて
空の裏側から
力強く
空を裏返す
重い雨の張りついた
向こう側の空

向こう側の空
へ沈むべきだ
このままでは
低く
空が落ちる
歌声をかき抱いて
体を落とし
雲を突き抜けたさきに
空の裏側があった
突き抜けたさきの
裏側には少し
暗緑色の錆び
が浮きだしていて
刺激の強い
時間そのものの匂いがしていた
裏側には
蝶番と
それからつながった

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