他部族の踊り子/緑茶塵
 
、地べたに座り込む。彼女の踊りがどうしても頭から離れなかった。
吐き出す吐息が白く変わり、夜の冷気が天幕の外を支配していた。
人の話し声がするのでそちらを見ると、若い女と男が馬を駆り出していた。
「どこへ行くんだ?」
「そのあたりまでよ」
男の方は少しひるんだようだったが、女が馬の後ろに乗り、後方からたずなを繰って馬を走らせて消えてしまった。
天幕に戻り、瓶から酒を注ぐ。天幕の中には狂熱が渦巻いていて、彼女は藍で染めた外套を身に着けて、演者と酒を酌み交わしていた。彼女が先ほどまでいた場所で、華奢な少年が剣舞を披露していた。彼女が炎だとすれば、この少年は嵐だろうか。
どこと無く目元が似
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