他部族の踊り子/緑茶塵
 
が似ている気がした。

夜が更けて一人また一人と天幕から抜け出ていった。
それぞれの家族の下。伴侶のいない若者達は、今宵と決めた者のところへ誘いに出ているはずだった。
俺は一人天幕に残り、杯をあおっていた。先ほどよりずっと酒が旨い。天幕の中に残った狂熱の残りかすが、酒の味を変えているのかもしれない。
「あら?ひとり」
先ほどの踊り子が天幕の中へと戻ってきていた。演者の一人と出て行ったはずだったが。
「どうした、忘れ物か?」
「違うわ、お酒を取りに来たのよ」
彼女は先ほどと違い、蒼色の口紅をつけていた。
「何かついてる?」
瓶から皮袋に酒を注ぎながら、嫣然と微笑みかける。

[次のページ]
戻る   Point(3)