『ゴースト・ソング』/大覚アキラ
 
あった
  身体が大きく力の強い子どもは
  ひとつでは飽き足らず
  他人のピストルまで奪おうとし
  のろまな子どもは
  ひとつも手に入れることができずに
  泣きわめいていた

  神父はそれを
  悲しい目で眺めながら
  懐から取り出した本物のピストルで
  子どもたちを
  ひとりずつ順番に
  撃ち殺していった

  悲鳴さえなく
  真っ青な空には
  ただ
  銃声だけがこだましていた



「幻覚」

  蝶になる
  夢を
  観た

  おんなの
  肩口にとまって
  軒先の
  夕立を眺めていた

  
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