眩 暈 (0〜3)/水無瀬 咲耶
む
海岸線の カーブ
きうきうと車両が軋み
ふわり 海の方へ 舞い踊る心
水平線は膨らみ しなる弓と化す
大いなる手に 私は つがえられ
折り重なる光素のヴェール
身体を透過してゆく何者かの
穏やかな ささやき声に いざなわれ
空と海との狭間を見定めると
祈りは 焦点となり発光し 輝く矢となる
うなずくと 放たれてゆく
**願わくは 時空の彼方へ
まばたきのあと
窓から 日がきらきらと 膝にこぼれて
はみだした 心に未だ交差している
透き通った眼差しの 残り香
私は咲いてしまった花を 一輪
頬に押し込んで 缶コーヒーを飲み干した
2 東方で
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