眩 暈 (0〜3)/水無瀬 咲耶
軸を夢見る
したたる青 に向って
大地から 剥がれ落ちる 私
根の足は戒められ
聖水曜日の午後に
ぶらさがっているのです
生きるとは そういうことでした
あなたの歌は
哀しいほど 善く響き
世の中が美しく視えてきます
揺り起こされて 旅立ちたいのですが
声が 声が見つからないのです
もどかしく 樹液が駆けめぐるばかりで
風にちらばる やわらかな木琴になれず
私は 骨骨をざわめかせ 雲を刈り込み
空の喉笛を 掻き切っているのです
**あの蒼穹を つかみたい
世界の反転を感じるまで
2 祈りは光を鍛え輝きの矢は時空を貫く
斜めに滑り込む
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