主人がオオアリクイに殺されて1年が過ぎました。/とうどうせいら
 

わたしが持ってきた
スーパーの袋をとって
わたしのかわりに
手際よく
冷蔵庫に牛乳を
棚に明日のパンを
移し変えてくれて
椅子をひいて
蘭を飾った食卓へ
座らせてくれた

やさしくされるのって
久しぶりだわ

オオアリクイが煮込んだらしき
カレーは
きりりと辛いけど
なぜかまろやか

君が
一番好きなもので
作ったんだよ

こうばしいチャパティを
わたしのために
ちぎってくれながら言う

ベッドから
引き摺り下ろすのに
ちょっと骨が折れたけど
いいだしが取れたと
思う

……だし?

そういえば
彼は
どうしたんだろう
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