時計のキリン/結城 森士
交差する風化した足音
・・・*2*・・・
お向かいのお嬢さんが
自分の部屋の窓を開けて
夕暮れの風に手をかざした頃
誰も居ない見晴台は
赤く染まっていた
そして僕の赤いキリンは
太陽を怖がっている
(もう一度眠らなくては)
・・・・・・
夕暮れの夢を見ていた
風が真夜中を知らせている
・・・*3*・・・
ベッドの上で眼を覚ますと
僕の部屋は朝焼けに包まれていて
ドアの前に男の影が佇んでいた
その男を僕は知らない
その男は僕を知らない
何も喋らない
決して動くことはない
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