時計のキリン/
結城 森士
ぼんやりとした意識の中で
僕はいつしか朝靄の中に立って
ベッドで寝ている男を見つめていた
その男を僕は知らない
その男は僕を知らない
何も喋らない
決して動くことはない
生温く
草の匂いのする新鮮な朝に
僕は風の声を聞いた気がする
太陽は既に上がっていた
男の影はいつの間にか
僕の後ろに伸びている
朝靄の中で
キリンの鼻息が
もう一度眠らなくては
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