聖フランチェスコについて/ジム・プリマス
になっていったのです。
そこは不思議な場所でした。みすぼらしいのですが、ここにくると、みんな不思議に気持ちが和むのです。フランチェスコは町の人があつまって、いろんな話をしたり、みんなが聖書を朗読する姿を、ただ黙って静かな微笑を浮かべながら見ているだけでした。
しかし、ある時、他の教会から、町の人々が建てた教会は異端であるとの密告が法王の元に届きました。当時の教会は信者たちに多額の寄付を課し、貴族や一部の裕福な商人だけが集まる場所だったのです。
異端審問を受けた、町の人々の教会は閉鎖されることになりました。町の人々は口々に異端審問に対する不満を口にしましたが、フランチェスコは黙って
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