聖フランチェスコについて/ジム・プリマス
 
一人で支えている夢でした。そのことがあまりにも気掛かりになった法王は翌日、フランチェスコ一行に謁見を許すように伝えました。
 
 法王は威厳のある姿で黄金の玉座に座り、フランチェスコ一行を迎えました。しかしフランチェスコも、仲間たちも、法王の威厳のある姿にたじろぐこともなく、恐れることもなく、ただ子供のような笑みを浮かべているだけでした。そして、フランチェスコの澄んだ瞳は、何故か法王に酷く懐かしい想いを抱かせたのです。
 いつの間にか法王は黄金の玉座を降り、自分の被っていた王冠をぬぎ、自分でも何故だか分からないままフランチェスコの前にひざまついていました。そして、法王は、その傷だらけで泥だら
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