サイレント・ブルー/光冨郁也
 
し、棚に置く。頭の後ろ、港と海の写真が、正面の鏡に映る。

水をすくう手で、顔を覆う。鼻の両脇から、あごへと、指がなぞる。口内炎が傷む。閉じた目を開けると、明かりが切れ、窓の街灯の、青い光に、水面がゆらめいている。体についた、古い小さな傷を上からなぞる。左の手の平の、奥にあるほくろのような、鉛筆をさされた痕。右手首、化膿して盛り上がった痕。左足かかと近くの、肉のえぐれた痕。左腹部の大きな茶色のあざ。ひたいの疱瘡のくぼみ。二の腕の、赤く長い傷は、まだ痛む。手に、緑の長い髪がからまる。

胸にさげた、丸い水晶を指でさぐる。水からとりだし、斜めからさしこむ、夜の光にあてる。金の鎖と、鋭い爪につか
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