吊られた葉っぱ/加藤泰清
 
月五日晴れアップダウンの激しいコースの先の電信柱の後ろ側にメタリック海が広がり陽炎が海上に浮かび例え魚が打ち上がり燃えようと激しく酸化する苛性ソーダ水を濾過し咆哮する声帯の震えが肺と心の臓から更に左上に太陽が月と空回りし月は溶け肌は溶け脳味噌が溶けきった頃に咆哮する力も声帯も魚の鰓すら残っていない現状維持の為の写真撮影。努力賞すら獲れなかった。
四月四日 てっぺんとう 喉を掻き毟った。四月三日 晴れ 時代は変わった。四月二日晴れるやなにもなし。
五月七日晴れ
天窓から葉っぱが一枚吊らされている。勿論、茎からだ。両隣は既に黄味を帯び、皮一枚、と念じたところで、ぽつ、ぽつ、と回転しながら降ってき
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