吊られた葉っぱ/加藤泰清
んだ。喋らせない事を強いる。それだけで股間から脳髄に掛けて痺れが生じる快感を得られた。聡子とセックスに至る時も、果たしてそうだろうか。勿論そのビンはゴミ箱から漁ってきたものだ。偶然にも私の所業を蔑んだ看護婦もどきを、私は山へ連れ込んでいた。その数は四名に及ぶ。私は両顎でそっと優しく包まれたビンをはんまあで叩き割った。それ以来聡子と口を交わさない。四時間前から。
五月 一日 いつまでも晴れるや
幼き頃からの知り合いの聡子は、照準を合わせた。門の横には梯子が掛かっていて、二階からは(二階と呼ぶべきだ、と聡子に教えられたので、癪だから聡子の爪を剥いだ)辺り一面の草原が見渡せる。十字架に加工さ
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