吊られた葉っぱ/加藤泰清
 
いるのか。途端にドアがだんと、折れてしまった。驚愕に支配された状況に愕然としていると、幾千の人数の目玉が開ききったドアから覗いている。そのまま私の胸倉は掴まれてしまった。その腕を一瞥し、愚か者が! と一喝すると、私の脳味噌の辺りが暗転した。私は勝利した。五月七日 晴れ ありがたくも私は受験勉強に没頭することが出来た。安住に富んだ、洋館の隅の一室、頭を殴られる。腫れあがった頭蓋を指差し、笑う。命がとても、とても澄んで、いるのです。あれは受験生の召喚するような内容ではなかった。そこに一つ響く鍵の音、かちゃ。丁度よくおかずを手に、かけずれる。面会は謝絶の札を掛けてもらうよう、扉の向こう側の人に頼んだ。彼
[次のページ]
戻る   Point(2)