脳内生物ミズキちゃん/加藤泰清
交じった表情で彼を見ながら呟いた。
「それじゃあ、ミズキちゃんはなんでそこにいる?」
そう質問した途端に彼の指は止まった。
「ん? ……なに?」
俺のことを愛しているから。手はそう答えた。そして指は再び動き始めた。
「おえ。おーえっ」
「うるせーよ」
俺はわざと嘔吐する真似をする木田を一喝した。はいはい、もうキモすぎだからムリ、と言って木田は後ろのグループの輪へ戻っていった。俺と彼はまた二人きりになった。
その時教室内にチャイムが鳴り響いた。反射的に俺は時計の方を見上げた。
「チャイム、鳴ったよ」
「あ?」
聞いたことのない声に驚き、俺はその方向を見遣った。そこには
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)