脳内生物ミズキちゃん/加藤泰清
の曲のサビ部分を聴いているのだろう。とぉっても可愛いんなあぁ、とその手は激しく指を動かしている。後ろから聞こえる声は最早しゃっくり交じりだった。それでも彼はずっと頭を振り続けている。そのせいで彼の頭からは白いフケがぱらぱら落ち、狂喜乱舞している手とその真下にあるキーボード、そして彼がさっきまで凝視していたディスプレーに降り掛かった。FMVは若干雪化粧をしているかのようだ。
「……おい板倉。お、お前なにやってんの……?」
木田が俺の肩を掴み、耳元で囁いた。多分コイツも後ろで笑っていただろう。声が震えていて、今にも笑い出しそうな顔だ。
「あ? あれだよ。対談してんだよ、対談。お前ちょっと黙って
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