クリスマスオーナメント/篠有里
 
わたしのクリスマスオーナメント
失われたクリスマスオーナメント
十二月の午後四時にあても無く探しまわる
青く沈む今日と
同じくやってくる終日
雪の足裏と
よく冷えた裏切りの構図
プルトップ
呼びかける
クリスマスオーナメントの特徴を
思い返せ

わたしの先を歩いていく二人組は
寄り添った影
どこよりもかたい足跡はない
彼らは知っている
わたしのクリスマスオーナメント
ここからここまで
線を引く
薄汚れた銀のモール
とろけた雪の結晶
壊れそうな
曇った眼でしか見えないもの

彼らの一方の
女である方が
わたしを嗤うので
知っているから
店に入る
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