初期詩篇選集「尾行者の音楽」/岡部淳太郎
自らの知識の総和について
そして人は歌う
簡単な翻弄につまずき
鳥が落ちるのを夢に見ながら
そして人は歌う
その歌声 夜にとける
知らないほうが幸わせだった}
尾行者の音楽
{引用=気がつくと いつも夕暮れだった
街の中 ビルディングの長い影に包まれて
他人の背中を見つめていた
他人の背中は よく冷えていた
*
この頃 私は背後に人の気配を感じる
*
だから俺は追い駈けた
遅れていても進まなければならなかったので
「初歩の尾行術」という本を買ってきて
必死に研究をつづけた
*
この頃 私は背後に視線と足音を感
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)