病院/前田ふむふむ
 
精密検査を受けるらしい。
悲惨だな。あまり詩人が暗喩や直喩を使って、
あり得ない無理を言うから、
皆具合が悪くなっている。大変だな。
胎児を包む爛れた水彩画も辛そうに唸っているが、
ああ、生まれそうだ。
僕は二番目の引き出しから少年の思い出の時計を
出してみたら、一時間以上、待たされている。
随分と待つ病院だな。
そこへ、漢字をひらがなに変換する看護師が来て、
少し暑いのでひかりの眼が付いている窓に
取り付けてある皮膚を下ろして、暑さを和らげた。
18番の方、どうぞ。
ああ、やっと僕の番だ。
僕は、診察室にはいると、太った百科事典の先生が、
難しい顔をして診察した。
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