病院/前田ふむふむ
 

(三番目の引き出しは少し熱があるな。
(三番目の引き出しを整理して句読点だけにするように。
(余計な言葉が入っているから、入らない注射をします。
(それと、一番目の引き出しのボールペンは交換して、
(原稿用紙を補充して置きましょう。
(四番目の引き出しの中の暗喩が、殆ど無いですね。
(これが無いと良い詩は書けませんから、無くなったら、
                    すぐ来てください。
はい。わかりました。
(五番目の引き出しの中の直喩も、補充して置きましょう。
(常に、引き出しの中のバランスを考えながら、使いなさい。
(一通り薬を処方しましたので安心してください。
はい。
それと、先生、「 」も欲しいのですが。
(分かりました処方しておきましょう。
有難うございました。

診察が終わると、注射が効いてきたのか、
三番目の引き出しが痛くない。
安心して帰るところだが、実をいうと僕はこの病院に
入院しているのである。
早く、通院にしたいのだが、なかなか難しい。
兎に角、夜も更けたので、寝ることにしよう。




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