ヒロシと寿司と母ちゃんと(吉沢やすみ『ど根性ガエル』)/角田寿星
 
と思われます。ヒロシの母ちゃんは推定40前とは思えないほど老けています。高度成長期前の日本で、女手ひとつで生活していくのは、かなりの苦労があったんだろうなと偲ばれます。
(…私事で恐縮ですが、今年95歳になるぼくの婆ちゃんもまた、戦中に爺ちゃんが病死して(しかもその爺ちゃんが戦争に反対してて)、戦後間もなくの小樽で、女手ひとつで三人の子どもを育てて、そのうち二人を大学に行かせて…という、やっぱりすごいことだよなあと、ただただ思います。)

宝寿司のいなせな板前、梅さんは、ヒロシの境遇が孤児だった自分と重なるのか、ヒロシを弟のようにかわいがってて、何か事あるごとにヒロシに寿司を食わせる。しかも
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