きんぎょ・かめ・うさぎ/こん
断すると足踏みミシンの裏で寝ていた
たゆたゆ〜〜んと気持ちよさそうに寝ていた
近所に「かめのえさ」なんて売っていなかったから
姉とどぶへ糸みみずをとりにいった
ビニール袋と割り箸持って
小さなどぶをのぞき込む私たちを
通行人が不思議そうに見てゆく
「かめちゃんのえさだよねー」と
大きな声で話しながら糸みみずをとった
(やっぱり恥ずかしかったらしい)
母が「日光浴もさせなくちゃ」と
工場のトタン屋根に
カメ入り洗面器を置いていた
陽射しが強すぎて
死んじゃった
「うさぎ」
兵隊さんは可哀想だねー また寝て泣くのかねー
母がよく台所
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)