猛暑帯広より拝啓マリリン/石畑由紀子
 
彼女は祝福の歌をうたった、そのほんの数ヶ月後
下着姿のマリリン
冷蔵庫で冷やされていただろうそのランジェリー一枚で
受話器を握りしめたまま自らもまた冷たくなっていたマリリン
ラインの向こうには誰がいたんだろう、誰に
いて欲しかったんだろう

飽和した麦茶のグラス 水滴がだらしなく流れてテーブルを円状に濡らしてゆく
そこには何の音もなく
私の受話器もここ2・3日無言のまま
物干し竿を売る軽トラのオヤジの声だけがやかましく近所を回り続ける

それにしても今日はなんて暑い日なんだ、何度シャワーを浴びても首のまわりが汗でじっとり
こんな季節に合う着心地のいい綿のワンピースが欲し
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