猛暑帯広より拝啓マリリン/石畑由紀子
欲しいって何年も何年も思いながら
未だお目当てのものに巡り合えない
シルクのスリップ・ワンピース一枚で米兵慰問のステージに現れたマリリン
あの日の気温はマイナス0℃だった
誰が破廉恥だって? 誰が非道徳だって?
鳥肌を立てながらも震えることはなかった彼女をプロと呼ばずして何と呼ぶ?
どんな上等な生地をとりよせても
彼女のように微笑むことなど 私には到底出来るはずもない
妹は金髪に近いオークル色に髪を染めてこの夏を過ごしている
日本人には黒髪が一番似合うのよ、とたしなめる母はもう半分が白髪になっていて
それを隠すために茶色に染めているのだった
おかしな親子 笑う私はカット以
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