亜熱帯チャイナタウンにて/MOJO
 
りをすべる。
 いったい女の肩甲骨というものは、そのこりこりした手ざわりがよろしい。
 などと昔ふうの散文があたまをよぎるのは照れくさいからであるが、私は次第に女の温かい身体に埋没して行く。
 ことが済み、シャワーも浴びた。女はベッドに戻ろうとするが、私はそれを制し、帰ってほしいと頼む。女は怪訝そうな顔をしている。
「ママには話してあるから心配はないんだ」
 私が言うと、女は安心した表情で服を着けはじめた。
 ジーンズに明るいグリーンのTシャツを着けている。とても娼婦には見えないが、それがこの辺りの流儀かもしれないし、彼女なりの演出であるのかもしれない。私は女に決められた金額に幾らか乗
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